美しさって、なんだろう

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累−かさね−

松浦だるま
漫画、イブニング(講談社)にて2013年より連載中の作品。2018年に土屋太鳳、芳根 京子のW主演で実写映画化。(2018年9月7日公開予定)
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新ツクナビ文化部初回、しかも4月という和やかで清々しいこの時期に紹介する作品としてふさわしいのか・・・と葛藤がありましたが、紹介します。この素晴らしさを伝えたい・・・。

というわけで今回担当のたまです。読む漫画や小説、観るアニメのジャンルが妖怪ものとSFものが多いことを先に断っておきます。今回もそちら側(?)です。


この『累(かさね)』という作品はそれはそれはもう濃厚な人間ドラマです。美醜を巡る運命に翻弄される女たちの物語。−こう書くと昼ドラの紹介のようですが、それとはちょっと異なるものです。たぶん。

伝説の舞台女優「淵透世(ふちすけよ)」の娘、「淵累(ふちかさね)」はその顔の容姿から周囲の同級生や里親にまで蔑まれる日々を送る。そんな暗い少女時代の日々を送る累の運命はある出来事で一変する。亡き母が遺した一本の深紅の口紅によって・・・・

 

その「魔法の口紅」の摩訶不思議な力によって、生まれて初めて「美」を我が物にする累。しかしその累を待ち受けていたのは日の下にでる恍惚とした感情か?もちろん幸せだけで済むわけもなく、一人の少女が背負うにはあまりにも重く暗い、胃の中に沈み込む鉛のような「罪」をももたらすのです。

この恍惚の描写がかえって読者を悲しくさせます。実の母を除く全ての人から醜い「人ではないもの」に対する視線を受けて育った累が日の下に出た時のその眼、表情の輝きが本当に哀しい。あぁ、この少女の受けてきた仕打ちは並ではない・・・と悟らされるのです。

累のそれまで押さえつけられていた感情は「演じる」という形で表出し、母と同じ「女優」への道を歩み始めます。そしてそれをアシストする謎の男「羽生田欽悟(はぶたきんご)」、そして累と口紅の不思議に巻き込まれる女性と彼女らに惹かれていく男性たち。人知れぬ舞台裏での葛藤、悲劇、悦びを経て、累が手にするものは、そしては実母「透世」とは何者なのか・・・と一旦読み出すとその世界に引き込まれます。ストーリー展開の妙だけでなく登場人物それぞれの強い眼光がこの作品の魅力の一つではないでしょうか。

私は11巻でのあるシーンにドキッとさせられました。あなたは醜いもの、あるいは美しいものに対して無意識に侮蔑、あるいは羨望の眼差しを向けてはいませんか?


ストーリーの意外性と衝撃が重要となる作品ので非常に曖昧な表現での紹介となってしまいましたがとりあえず一言。

 

「読んでください」

 

これに尽きます。(明るい気持ちになるかと聞かれたら明るくはなりません)

女性だけでなく、男性にも「美しさってなんだろう、美しさの価値とは」と考えさせるような作品ですのでおすすめです。

*画像はファンアートです

 

文章:たま
2018/05/14