名前
剣道全国優勝
  鳴本敬一郎
生年月日
1979年1月7日
所属
筑波大学医学専門学群四年
趣味
旅、登山、自然とたわむれること
宝物
家族(尊敬してます)

<interview>

高校3年生で剣道インターハイ個人3位、団体戦で大将として全国優勝。
大学4年生で見事全日本優勝をかざった鳴本敬一郎さん。
しかしその一方で、鳴本さんは、筑波大学の医学専門学群に所属し、
医者を目指して日々勉強中なのです。
「文武両道」とは、この人のためにあるような言葉。
今回はそんな鳴本さんにお話をうかがいに行きました。

「鳴本さんと剣道の出会いは?」

小さいころからよく剣道の真似事で遊んでいたのですが、親戚に勧められたのをきっかけに本格的に習い始めました。それが小学校1年生のときです。初めは先生がこわくて練習がいやでいやで仕方がなかった。でも4年生のときに先生が変わって、それでも楽しいとは思えなかったけど、確実に力が伸びてきて、試合に勝つようになってきました。そうなるともっと強くなりたいと思うようになります。それで中学、高校そして、今に至るまで剣道を続けることになりました。

「ということは剣道を16年間やっていらっしゃるんですね!その間で剣道に対する思いや考え方は変わったりしましたか?」

はい。恩師と出会い、剣道に対する考え方がだいぶ変わりました。 もっと強くなりたいという思いで、中学、高校と剣道部に進み、その間も道場は続けていました。でも実は練習はそんなに好きではありませんでした。初めはただとにかく厳しいことを続けていればそれは実力につながると思っていたから練習も大変だったし。でも、高校の剣道部でお世話になった藤原先生と出会ったことで、剣道に対する考え方が大きく変わりました。というのも、藤原先生は「きつい練習はするな。剣道と日常生活を関連づけて考えろ。」とよくおっしゃっていたのです。例えばテスト期間中で練習ができないときも、勉強するときに身に付けた集中力は必ず剣道に生かされるんです。ただがむしゃらに剣道をするのではない、そうではなくて日常生活を通じて学んだことを、剣道でも生かしていかなければいけないのです。日常生活と剣道はどこかでつながっています。藤原先生は、剣道だけを教えるのではなく、剣道以外のことも教えたいとおっしゃっていました。もう1人、お世話になった先生は道場の稲村先生という方です。稲村先生には「敵に従うの勝ち」ということを教わりました。自分勝手にうつのでは勝てない、相手がいて自分がいるのだから、相手にゆだねなければいけないのです。試合のときや練習中は、いつでも藤原先生と稲村先生の言葉を心の中で繰り返しながら臨んでいます。そして、高校3年のときにはインターハイ個人3位、団体戦で大将として全国優勝することができたのです。

「そんな中で筑波大学の医学専門学群入学を決めたのはなぜですか?」

筑波大学には剣道の全国ベスト5くらいの力をもつ選手がそろっています。だから、自分もその人たちにまざって剣道部で練習してみたかったというのが筑波大学に決めた一番の理由です。最初は筑波大学の体育専門学群に行こうと思っていました。でも、高3の11月くらいから、医学の道に進みたいと思うようになりました。きっかけは特にありません。学校の先生にも止められました。でももともと人と接するのが好きだったし、挑戦という意味でもがんばる価値はあると思いました。結果的に1年浪人してしまいましたが、その間は目的にむかって本当に勉強に集中できたと思います。剣道は1年間休み、大学入学後に念願の筑波大学剣道部に入部し、また始めました。

「入学後の勉強と部活の両立は大変だったと思いますが、そのコツは?」

もともと筑波大学の剣道部にあこがれていたので、いつのまにか入部してしまいましたが、やはり勉強と部活の両立は大変でした。朝6時半からの朝練、日曜日以外は毎日練習。テスト期間中でも、部活は休みにならないので、練習の帰りに図書館やファミレスで勉強するというような毎日でした。コツは、「ひたすら頑張る」(笑)。ノイローゼ気味になったときもあったけど、あとは学校生活ももう実習を残すのみです。剣道のほうでは全国優勝することもできました。誰でも頑張ればどんなことでもできてしまうものなんですよ。

「鳴本さんにとって剣道とは?」

「人生の支え」。支えというより、人生そのものかもしれません。例えば1つの試合中に竹刀をかわしあっただけでも、試合が終わって面をとったときには知り合いになっている。こんな風に知り合いがどんどん増えていくんです。無名のころは、他の学校の人と強化練をしても、あまり相手にしてもらえないけれど、強くなっていくにしたがって、自分という存在が意識されるようになり自然と話すようになり、友達になっていくんです。剣道を通してたくさんの友達を作ることができました。また、礼儀作法や常識を学びました。とてもいい影響を受けたと思います。剣道のような武道は、いろんな意味で普通の団体競技や個人競技のスポーツとはちょっと違うところがあると思いますね。

「引退の時期だと思いますが、これからも剣道は続けていかれるんですか?」

暇があったら今後も続けていきたいですね。でも、とりあえずこれからは医者にむけてがんばっていきたいと思っています。人と違ったことをしたいんです。人と違った医者になりたい。視野を広く持って、器の大きい人間になりたいんです。そのためには、ひとつのことだけではなくて、もっといろんなことを経験しないといけないと思います。だから、引退した今、やりたいことがいっぱいあるんです。

「やりたいことというと?」

旅です。視野を広げるためには、やっぱりたくさんの経験をしなければならないと思うんですよ。先日はタイに行ってきました。発展途上国に行ったのは初めてで、特に、自給自足をする小さな村で過ごした時間は忘れられません。何かがあると火の周りに村の人全員が集まって話す。子供達の目の輝きや、人のあたたかみが全然違うと感じました。時間があればもっと見てまわりたい。アジアの国を一人旅で周ってみたいですね。他にもギターとかウィンタースポーツとか、今までできなかったことをたくさんやってみたいです。

「最後に筑波大学生にひとことお願いします。」

せっかくの人生なのだから、後悔しないように「一所懸命」生きて欲しい。人生の一瞬一瞬を懸命に生きて欲しい。極端な話、自分は、いつ死んでもいいと思うんですよ。そのくらい毎日が充実しています。だから、みなさんにも一生懸命ではない「一所懸命」に生きることをお勧めします。


部活と勉強の両立、というととても難しいことのように思ってしまいます。今回鳴本さんの話をきいて思ったのは、「両立する」とは、いかにうまく頭を切り替えて、それぞれを単独のもののように扱えるかということなのだと思いました。そして鳴本さんはこの切り替えがとても上手な人だと感じました。 人と違ったことがしたい、そう何度もくりかえしていた鳴本さんの目はとても輝いていました。近い将来、きっと広い視野を持った立派な医者になっていることでしょう。

(Yoko)



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